機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第27巻第4号目次 > 抄録

─日本小児感染症学会若手会員研修会第6回瀬戸内セミナー─

尿路感染症~急性期治療,その後に

グループワーク:グループC
齊間 陽子1), 齊間 貴大2), 稲村 憲一3), 大野 茜子4), 苔口 知樹5), 手束 真理6)
チューター
阿部 淳7), 田中 敏博8)

1)稲荷山医療福祉センター小児科 2)長野赤十字病院小児科 3)川崎医科大学附属病院小児科
4)兵庫県立淡路医療センター小児科 5)愛媛県立中央病院小児科 6)愛媛県立中央病院小児科
7)唐津赤十字病院小児科 8)JA静岡厚生連静岡厚生病院小児科


上部尿路感染症の診療では,急性期治療のみならず,腎瘢痕による長期的な糸球体濾過量低下,蛋白尿,高血圧を伴う逆流性腎症をいかにして防ぐかという点が重要である.膀胱尿管逆流症は腎瘢痕形成の重要な危険因子である.その診断のための排尿時膀胱尿道造影をいつどんな症例に対して行うか,診断された場合の抗菌薬の予防内服や逆流防止手術の適応について,アメリカ小児科学会やイギリスなどからガイドラインが出されている.しかし,見解は統一されていないため,ガイドラインの根拠を知り,適切に利用する必要がある.早期治療介入を行うことで,腎瘢痕形成を低減できる可能性がある.すべての症例で腎瘢痕を防ぐことは困難であり,腎瘢痕形成をしたのちに適切に経過観察を行うことが勧められる.急性期治療後の腎予後に関して,さらにデータを蓄積していく必要がある.

Key words 上部尿路感染症, 膀胱尿管逆流症, 予防内服, 腎瘢痕, 長期管理

小児感染免疫 27 (4):364─368,2016

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