機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第27巻第4号目次 > 抄録

─原著─

当院で経験した小児化膿性股関節炎の5症例

間宮 範人1), 伊藤 美津江1), 東川 正宗1)

1)伊勢赤十字病院小児科
〔連絡先:〒519-5204 三重県南牟婁郡御浜町阿田和4750 紀南病院小児科〕


当院にて1998年1月~2012年7月までに診断,加療した小児化膿性股関節炎5症例の臨床像について報告した.5症例の起因菌は黄色ブドウ球菌2例(MSSA,MRSA各1例),肺炎球菌2例(PISP,PRSP各1例),βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌1例(BLNAR)であった.全例に切開排膿,洗浄およびドレナージ術が施行された.脚長差の後遺症を残した1例は1カ月の乳児で,MSSAが起因菌であった.症状出現から切開排膿まで15日を要していた.2002~2012年に報告されたわが国の14文献141例の集計でも化膿性股関節炎の起因菌として,MRSA(18.4%),PISP(2.1%)が検出されていた.薬剤感受性は不明であるが,インフルエンザ菌が6.4%検出されていた.成績不良例が17.0%に認められた.以上より,早期の外科的処置と耐性菌を考慮した適切な抗菌薬を選択する必要があると考えられた.

Key words 小児, 化膿性股関節炎, 薬剤耐性菌
受付日 2015年2月6日
受理日 2015年11月4日

小児感染免疫 27 (4):291─296,2016

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