─原著─
7価肺炎球菌結合型ワクチンによる小児肺炎球菌性中耳炎の減少効果
豊福 明和1), 佐藤 厚夫1), 城 裕之1)
1)横浜労災病院こどもセンター小児科
〔〒222-0036 横浜市港北区小机町3211〕
7価肺炎球菌結合型ワクチン(7-valent pneumococcal conjugate vaccine:PCV7)の肺炎球菌性急性中耳炎に対する効果を明らかにすることを目的とした.2007~2013年までの7年間に当院で診療された小児急性中耳炎患者から,鼓膜切開または鼓膜穿刺によって採取された中耳貯留液培養検体を対象とし,分離菌の年次推移と分離された肺炎球菌の薬剤感受性の動向を調査した.期間中に255株の分離菌があったが,そのうち肺炎球菌は93株(36%)であった.PCV7普及率上昇に伴い,肺炎球菌の分離率は減少傾向を示した.PCV7接種児からの肺炎球菌の分離は,未接種児と比べ有意に少なかった(p<0.01).ペニシリン耐性肺炎球菌(中等度耐性+耐性)の割合は,ワクチン公費助成前の75%から助成後には43%へ減少していた.結論として,PCV7が肺炎球菌性急性中耳炎の予防に有効であることが示唆された.
Key words | 急性中耳炎, 7価肺炎球菌結合型ワクチン, 肺炎球菌, 小児科 |
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受付日 | 2015年7月8日 |
受理日 | 2015年9月2日 |
小児感染免疫 27 (4):265─270,2016
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