─原著─
Staphylococcus saprophyticusによる小児尿路感染症の2例
明貝 路子1), 新庄 正宜2), 上牧 務1)
1)静岡市立清水病院小児科
〔〒424-8636 静岡市清水区宮加三1231〕
2)慶應義塾大学医学部小児科
Staphylococcus saprophyticusはコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)の一種で,若年女性の膀胱炎の起因菌として知られているが小児や男性ではまれである.当院で過去6年間に経験した2例のS. saprophyticusによる小児尿路感染症を報告する.
症例1(腎盂腎炎):9歳男児,二分脊椎のため母が間欠的に導尿している.入院2日前からの発熱,食欲低下を主訴に受診,白血球尿を認め入院した.入院当日,翌日の尿培養からS. saprophyticus(メチリシン耐性)を検出した.バンコマイシン5日間静注,ST合剤9日間内服で治癒した.
症例2(膀胱炎):生来健康な3歳女児.2,3日前からの排尿時痛を主訴に受診,白血球尿を認めた.発熱なし.尿培養からS. saprophyticus(メチリシン耐性)を検出した.トスフロキサシン7日間内服で治癒した.
CNSは尿培養からときどき検出されるが,S. saprophyticusであれば小児においても若年女性と同様に尿路感染症の起因菌となり得るため,安易にコンタミネーションと判断すべきではないと思われた.
Key words | 小児, 尿路感染症, コアグラーゼ陰性ブドウ球菌, Staphylococcus saprophyticus |
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受付日 | 2015年4月15日 |
受理日 | 2015年6月29日 |
小児感染免疫 27 (3):205─208,2015
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