─原著─
乳幼児の発熱性尿路感染症における腎尿路超音波検査の有用性に関する検討
加藤 耕治1), 原 紳也1)
1)トヨタ記念病院小児科
〔〒471-8513 豊田市平和町1-1〕
【背景】近年米国小児科学会などは,初発の乳幼児の発熱性尿路感染症に対し,初期検査として腎尿路超音波検査(RUS:renal ultrasonography)を用いるよう推奨しているが,その有用性については議論の残るところである.
【方法】2004年1月~2013年10月までに,初発の発熱性尿路感染症の診断で入院した月齢0~36カ月の乳幼児を対象とし,RUSの有用性に関して後方視的に検討した.期間中初期検査にRUSを用い,異常例に対してVCUGを行った.
【結果】RUS異常あり群(A群)20例,RUS異常なし群(N群)42例の計62例について検討した.再発率はA群が45%(9/20)であったのに対し,N群は9.5%(4/42)であった.手術率はA群が25%(5/20)であったのに対し,N群は2.4%(1/42)であった.N群は有意に再発率が低く(p=0.003),手術率も低かった(p=0.011).
【結論】乳幼児の発熱性尿路感染症に対してRUSを初期検査に用いるプロトコールは,再発予測という点において有用であった.今後は長期的な腎機能予後を含めたさらなる検討が望まれる.
Key words | 尿路感染症, 超音波検査, 再発率, 初期検査, VCUG |
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受付日 | 2015年1月20日 |
受理日 | 2015年5月20日 |
小児感染免疫 27 (2):135─142,2015
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