機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第27巻第2号目次 > 抄録

─原著─

当院での小児におけるダプトマイシン使用経験

奥井 秀由起1), 深沢 千絵1), 徳武 翔子1), 星野 直1)

1)千葉県こども病院感染症科
〔〒266-0007 千葉市緑区辺田町579-1〕


DAPは早期の殺菌性とバイオフィルム透過性を特徴とする抗MRSA薬であるが,小児に対する使用経験は少ない.そこで,われわれのDAPの小児使用例を報告する.症例1:9カ月,女児.人工弁置換術後にMRCNSによる人工充填物感染を発症.VCMでred man症候群が生じ,LZDに変更したが血液培養が陰性化せず,DAPを用いた.症例2:12歳,男児.再生不良性貧血に伴う血球貪食症候群の治療中にFNを発症.血液,CVカテーテル先培養にてMRCNSが発育した.TEICで血液培養が陰性化せず,VCMに変更後に再発熱を認めた.VCM増量後もトラフ値が上昇せず,DAPに変更した.症例3:生後1カ月,女児.急性単球性白血病の治療中にFNを発症.血液培養にてMRCNSが発育し,VCMの投与で血液培養は陰性化した.しかし発熱が続き,VCM増量後もトラフ値が上昇せず,DAPに変更した.いずれの症例も血液よりMRCNSが検出されており,DAPへの変更で軽快した.DAPは小児において他の抗MRSA薬無効時,有害事象発生時の代替薬として有用であった.また,MRCNS感染症に対する有用性も期待される.

Key words ダプトマイシン, 小児, 抗MRSA薬, MRSA, MRCNS
受付日 2015年1月14日
受理日 2015年5月12日

小児感染免疫 27 (2):127─133,2015

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