─原著─
ヒトパルボウイルスB19脳炎・脳症の5歳女児例
加納 友環1), 吉松 豊1), 伊藤 嘉規2), 森口 直彦1)
1)近畿大学医学部堺病院小児科
〔〒590-0132 堺市南区原山台2-7-1〕
2)名古屋大学大学院小児科学
ヒトパルボウイルスB19(PVB19)脳炎・脳症の5歳女児例について報告する.症例は鼻汁,咳,発熱を認め咽頭炎で加療されていたが,5日間の発熱ののち解熱後に夜間の不穏を認め,意識障害をきたして入院した.入院後は顔を前後左右に動かすミオクロニー発作を反復した.頭部MRIに異常所見はなかったが,髄液細胞数の上昇と脳波で全般性の高振幅徐波を認めた.脳炎・脳症の診断で,抗けいれん剤,ステロイドパルス療法で治療し,意識障害,運動機能は徐々に改善した.入院時の鼻汁と髄液からPCRにてPVB19 DNAが検出され,PVB19の関与が考えられた.経過中に伝染性紅斑と思われる発疹は認めなかった.急性期に髄液からウイルスDNAを3.0×106コピー/ml,血清から2.5×1012コピー/mlのウイルスDNAを検出し,その後10カ月間血中からウイルスDNAを検出したが,貧血や肝機能障害といった合併症はなく,神経学的後遺症を残さずに治癒した.原因不明の脳炎・脳症の一部にPVB19の関与するものがあり,注意が必要であると思われた.
Key words | ヒトパルボウイルスB19, 脳炎・脳症, 伝染性紅斑 |
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受付日 | 2014年10月14日 |
受理日 | 2015年3月9日 |
小児感染免疫 27 (2):99─105,2015
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