─原著─
非性的接触によると考えられる淋菌性骨盤内炎症性疾患を発症した女児の一例
小林 宗也1), 角田 知之1), 岩澤 堅太郎1), 及川 愛里1), 十河 剛1), 乾 あやの1), 藤澤 知雄1)
1)済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科
〔〒230-8765 横浜市鶴見区下末吉3-6-1〕
淋菌性腟炎から上行感染により淋菌性骨盤内炎症性疾患を発症した8歳女児を経験した.発熱と反跳痛を伴う腹痛,白色帯下を主訴に入院し,子宮頸管分泌物から淋菌(Neisseria gonorrhoeae)が同定され,淋菌による骨盤内炎症性疾患と診断した.Tazobactam/Piperacillin(TAZ/PIPC)の投与にて速やかに症状は軽快した.児童相談所の介入の下,性的虐待による淋菌感染を念頭に,家族内感染の有無および感染経路特定のため同居者に対する検査を施行したところ,16歳の三女から淋菌が検出された.しかし,ダイレクトシーケンス法による両者の淋菌遺伝子を比較したところ異なっており,三女からの直接感染の可能性は低いと思われた.遺伝子解析は感染経路の究明において,有用な方法の一つであると考えられた.
Key words | 淋菌, 骨盤内炎症性疾患, 性的虐待, ダイレクトシーケンス法 |
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受付日 | 2014年10月22日 |
受理日 | 2015年2月26日 |
小児感染免疫 27 (1):23─28,2015
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