─原著─
小児病院における肺炎球菌結合型ワクチン導入後の侵襲性肺炎球菌感染症の血清型の推移
宇田 和宏1), 森川 和彦2), 伊藤 健太3), 廣瀧 慎太郎3), 磯貝 美穂子3), 森野 紗衣子3), 為 智之4), 後藤 薫4), 内藤 幸子5), 石和田 稔彦6), 堀越 裕歩3)
1)東京都立小児総合医療センター総合診療科
2)同 臨床研究支援センター
3)同 感染症科
4)同 細菌検査室
〔〒183-8561 府中市武蔵台2-8-29〕
5)千葉大学大学院医学研究院小児病態学
6)千葉大学真菌医学研究センター感染症制御分野
7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)導入後の侵襲性肺炎球菌感染症(IPDs)の血清型の変化が欧米から報告されている.わが国でも2011年に公費負担となり,2013年11月からは13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が導入された.わが国でのPCV7導入後の血清型の推移を検討した報告は少なく,PCV7導入後の血清型の推移を明らかにするため検討を行った.当センターで2010年3月~2014年3月までに検出されたIPDsのうち,危険因子,ワクチン歴,臨床診断,血清型に関して検討を行った.IPDsは45例で,基礎疾患としてIPDsの危険因子をもつ児は29%(13/45),ワクチン接種者は29%(13/45)であった.臨床診断は,潜在性菌血症26例,肺炎12例,細菌性髄膜炎4例,眼窩蜂窩織炎2例,化膿性リンパ節炎1例であった.PCV7含有血清型,およびPCV13含有血清型は33%(15/45),56%(25/45)で検出された.PCV7ワクチン接種者は,PCV7含有血清型での罹患は認めなかった.またPCV7導入後,PCV7含有血清型によるIPDsは,年次ごとに統計学的に有意に減少した(p<0.001).今回の検討でPCV7の有効性が示された一方,PCV13の導入前にもかかわらず,PCV13非含有血清型が44%とワクチン非含有血清型が多くみられることがわかった.PCV13導入後もIPDsの血清型の推移を観察していく必要がある.
Key words | 肺炎球菌, 侵襲性肺炎球菌感染症, 血清型, ワクチン |
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受付日 | 2014年12月2日 |
受理日 | 2015年1月13日 |
小児感染免疫 27 (1):9─15,2015
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