─原著─
インフルエンザ脳症における鼻汁中サイトカインプロファイル
呉 宗憲1), 河島 尚志1), 柏木 保代1), 武隈 孝治1)
1)東京医科大学小児科
〔〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-7-1〕
近年,インフルエンザ脳症の致死率は改善を認めるものの,後遺症を含めた予後は依然として不良である.このため,より早期からの治療の介入が必要となるが,病初期における脳症発症の予測は困難なことも多く,何らかの指標が望まれている.
インフルエンザ脳症において発熱後早期に大脳辺縁系の神経症状が発現することより,嗅球-大脳辺縁系のルートを直接介して影響していることが推測されている.われわれは鼻粘膜局所での病態形成への影響因子が脳症発症予測の早期指標となる可能性を考え,非脳症群73例と脳症群4例の鼻汁中の各種サイトカイン,およびケモカイン17種を計測し鼻粘膜局所での免疫応答の差異を知るべく検討を行った.両群とも同じ8項目が上昇し,そのうち2項目(G-CSFとCCL4)は脳症群が非脳症群より統計的に有意に高値を示した.また,IL-1β,IL-6,IL-8も脳症群に高い傾向を認めた.脳症群の髄液でもほぼ同様な傾向を示した.鼻汁中サイトカインの計測が,インフルエンザ脳症の発症予測に役立つ可能性がある.
Key words | インフルエンザ脳症, サイトカイン, 鼻汁, CCL4, IL(Interleukin)-6 |
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受付日 | 2013年8月26日 |
受理日 | 2014年1月22日 |
小児感染免疫 26 (1):21─29,2014
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