機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

急性膵炎を続発したマイコプラズマ肺炎の一男児例―症例報告と既報との比較―

阿部 祥英1), 鈴木 慎太郎2), 松橋 一彦1), 新井 真衣1), 渡邉 修一郎3), 板橋 家頭夫1)

1)昭和大学医学部小児科学講座
2)同 内科学講座呼吸器・アレルギー部門
〔〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8〕
3)渡辺こどもクリニック


急性膵炎を続発したマイコプラズマ肺炎の一男児例を報告する.症例は6歳11カ月の男児である.発熱と咳嗽を主訴に来院し,胸部単純X線検査で肺炎像を,血液生化学所見にて血清トランスアミナーゼ値の上昇を認め,マイコプラズマ肺炎および急性肝機能障害と診断し,入院加療した.症状および検査所見の改善を認めていたが,入院第20病日から発熱,上腹部痛が出現し,血清および尿中の膵酵素上昇の他,腹部CTでは膵臓の腫大を認めたため,急性膵炎と診断した.これまでにもマイコプラズマ肺炎に続発する急性膵炎の報告はあるが,マイコプラズマ感染による急性膵炎を疑問視する見解もあり,その是非を再考する必要があると判断した.これまでの報告とも比較した結果,マイコプラズマ肺炎の改善後に急性膵炎が続発する可能性があることに注意する必要があることが示唆された.しかし,その発症機序に関してはさらなる検討が必要である.

Key words Mycoplasma pneumoniae, マイコプラズマ肺炎, 急性膵炎
受付日 2013年4月4日
受理日 2013年5月27日

小児感染免疫 25 (3):247─254,2013

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