機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

基質特異性拡張型ベータラクタマーゼ産生Salmonella Heidelbergの国内初報告例

上野 正浩1)

1)蓮田一心会病院小児科
〔〒349-0123 蓮田市本町3-17〕


Salmonella enterica serovar Heidelbergは,北米ではサルモネラ菌属のなかでは食中毒の原因菌として重要視されている.一方,国内での検出数は,近年は年間1~3件で推移している.さらにS. HeidelbergのESBL(Extended-spectrum β-lactamase)産生菌感染症の臨床報告例は,国内では報告されていない.今回,国内で最初の臨床報告例となるCTX-M-2型ESBL産生の多剤耐性S. Heidelbergを起因菌とした小児の急性胃腸炎症例を経験したので報告する.サルモネラ属菌の病原性は一般的に高く,本症例のように多剤耐性株であれば,ときには治療に難渋することも考えられるため,選択する抗菌薬により配慮する必要があると考える.また今後,サルモネラ属菌の多剤耐性化にもさらに注意していく必要があると思われた.

Key words Salmonella Heidelberg, 多剤耐性, ESBL, CTX-M-型酵素, サルモネラ腸炎
受付日 2012年10月23日
受理日 2013年1月29日

小児感染免疫 25 (1):23─27,2013

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