─原著─
乳幼児市中肺炎入院例におけるCRP値再検査の必要性に関する検討
宮地 裕美子1), 金高 太一1), 成相 昭吉1)
1)横浜南共済病院小児科
〔〒236-0037 横浜市金沢区六浦東1-21-1〕
小児呼吸器感染症診療ガイドラインの肺炎重症度分類において,CRP値による重症度の規定はあるが,CRP値について再検の必要性や改善の判断基準は記載がなく,また抗菌薬投与期間の明確な基準も示されていない.
当科では乳幼児市中肺炎に対して2006年4月より肺炎クリニカルパスを適用し,ガイドラインが示す原因微生物不明時の選択抗菌薬であるスルバクタム・アンピシリンを中心に3日間通常量投与してきた.今回,中等症以上の乳幼児市中肺炎例のなかからCRP値が10 mg/dl以上で,抗菌薬3日間投与により解熱を認めた症例を対象に,3日間投与終了時のCRP値を調べ,CRP値再検査の必要性と改善の判断基準を検討した.
入院時の平均CRP値は16.7±6.7 mg/dl,平均有熱期間は約1日,3日間抗菌薬終了後の平均CRP値は3.9±2.0 mg/dlで,全例前値の1/3以下に低下していた.1週間以内の再入院例はなかった.
以上の結果から,乳幼児市中肺炎入院例に対する抗菌薬はガイドラインに沿って選択し,効果判定は発熱を指標に行い,3日間投与後解熱し有効であればCRP値は入院時の1/3以下に低下していると判断してよく,CRP再検査の必要はないと考えられた.
Key words | 乳幼児市中肺炎, 小児呼吸器感染症ガイドライン, 肺炎クリニカルパス, CRP値, 抗菌薬投与期間 |
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受付日 | 2011年9月15日 |
受理日 | 2011年12月14日 |
小児感染免疫 24 (2):149─153,2012
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