─原著─
Acinetobacter敗血症を発症し,治療に難渋した摂食障害の1女児例
湯浅 光織1), 安冨 素子1), 林 仁幸子1), 吉川 利英1), 河北 亜希子1), 中井 昭夫1), 大嶋 勇成1)
1)福井大学医学部病態制御医学講座小児科
〔〒910-1193 福井県吉田郡永平寺町松岡下合月23-3〕
症例は摂食障害の9歳女児.末梢静脈栄養中にAcinetobacter lwoffiiによる敗血症を発症した.感受性のあったcefozopran投与により一時的に症状は改善したが再燃し,vancomycinに加えceftazidime,minocycline併用投与により治癒した.感染経路は末梢静脈カテーテルと考え,カテーテルの留置期間を短縮し,早期に経鼻栄養に切り替えたところ,その後感染症の再燃・反復は認めなかった.本症例では低栄養に伴う低補体血症を認め,Acinetobacter感染症の遷延・難治化の一因となっていた可能性が考えられた.摂食障害患者に対する静脈栄養管理を行う場合には,末梢静脈カテーテルの留置期間の短縮や,経鼻栄養への早期移行,続発性免疫不全状態に対する清潔管理が重要と考えられた.
Key words | Acinetobacter, 摂食障害, 低補体血症, 末梢静脈カテーテル, 敗血症 |
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受付日 | 2011年6月20日 |
受理日 | 2011年12月14日 |
小児感染免疫 24 (2):138─142,2012
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