機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第23巻第3号目次 > 抄録

─原著─

BCG骨髄炎27例の検討

保科 隆之1), 高田 英俊1), 佐々木 由佳1), 楠原 浩一1,2), 原 寿郎1)

1)九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野
〔〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1〕
2)産業医科大学小児科


BCGワクチン接種後に,まれではあるがBCG骨髄炎を発症することがある.われわれはBCG骨髄炎と診断された27例の臨床的特徴および遺伝的背景を検討した.ワクチン接種から発症までの期間の中央値は,11カ月(5~46カ月)だった.罹患部位は,大腿骨などの長幹骨が多く,5例は多発骨病変を認めた.治療は,局所の掻爬術に加えて,イソニアジド,リファンピシンを中心とした多剤併用化学療法が行われ,投与期間の中央値は12カ月(6~72カ月)だった.また,これまで報告のあるinterferon-γ/interleukin-12経路などの遺伝子解析を行ったところ,4例でIFNGR1遺伝子の異常を認め,すべての症例が多発骨病変を呈しており,3例では複数回の抗酸菌感染症罹患歴があった.一方,遺伝子異常を認めなかった症例では,1例を除きすべて単一病変であり,抗酸菌感染症を反復した者は2例のみだった.
BCGワクチン接種歴のある乳幼児の骨髄炎では,起炎菌としてBCG菌を考える必要があり,多発BCG骨髄炎症例や抗酸菌感染症反復例では,interferon-γ receptor 1異常症を念頭に置いて遺伝子解析を行う必要があると考えられた.

Key words 多発BCG骨髄炎, 再発性播種性BCG感染症, interferon-γ receptor 1異常症
受付日 2010年12月27日
受理日 2011年4月19日

小児感染免疫 23 (3):227─232,2011

PAGE TOP