─第41回日本小児感染症学会シンポジウム1─
炎症性疾患をどう理解するか―Epstein-Barrウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症―
前田 明彦**, 佐藤 哲也**, 石浦 嘉人**, 堂野 純孝**, 久川 浩章**, 藤枝 幹也**, 脇口 宏**
**高知大学医学部附属病院小児科
〔〒783-8505 南国市岡豊町小蓮〕
血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis:HLH)の本態はサイトカインストームという「免疫の暴走」である.EBウイルス感染が引き金となるHLHにおいて,サイトカインストームを起こす火種に焦点をしぼって考える場合,3病型に分類することが妥当である.(1)家族性HLH(FHL)など遺伝性HLHでは,キラー不全により,EBV感染を制御できないために,免疫反応が持続し,高サイトカインとなる.(2)X連鎖リンパ増殖症候群(XLP)では,SAP異常によるキラー不全および細胞増殖が高サイトカイン血症につながる.(3)基礎疾患が特定できないEBV-HLH(狭義)や慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)では,前2者と異なり,T細胞あるいはNK細胞にEBVが感染し腫瘍性増殖を示すため,サイトカイン異常産生をきたす.
Key words | サイトカインストーム, 慢性活動性EBウイルス感染症, 血球貪食症候群, 血球貪食性リンパ組織球症, X連鎖リンパ増殖症候群 |
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小児感染免疫 22 (1):59─66,2010
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