機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

小児科領域の深在性真菌症におけるボリコナゾール使用実態調査

森 雅亮1), 福島 啓太郎2), 気賀沢 寿人3), 三春 晶嗣4), 後藤 裕明5), 横田 俊平5), 佐藤 吉壮6)

1)横浜市立大学附属市民総合医療センター小児総合医療センター
〔〒232-0024 横浜市南区浦舟4-57〕
2)獨協医科大学医学部小児科
3)神奈川県立こども医療センター血液・再生医療科
4)慶應義塾大学医学部小児科
5)横浜市立大学医学部小児科
6)富士重工業健康保険組合総合太田病院小児科


小児の深在性真菌症に対するボリコナゾール投与時の,投与量,有効性,安全性などを後方視的に調査した.32症例について解析したところ,投与量は症例ごとの差異が大きいものの,低年齢,低体重の児ほど高用量となる傾向が認められた.有効性判定では,有効19例,無効1例で,複数の抗真菌薬を投与されているなどの理由によりボリコナゾール単剤の効果判定不能であった症例が12例みられた.有効性判定可能症例に占める有効症例の割合は95.0%,全症例に占める有効症例の割合は59.4%であった.主な有害事象は視覚異常,幻覚,頭痛,肝機能検査値異常など成人と同様であり,いずれも一過性で,多くは経過観察のみで対処可能であり,忍容性は良好と考えられた.

Key words 深在性真菌症, ボリコナゾール, 投与量, 有効性, 安全性
受付日 2009年8月26日
受理日 2009年10月7日

小児感染免疫 22 (1):13─21,2010

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