─原著─
妊婦健診で母の梅毒血清反応が陰性であった先天梅毒の一例
玉城 渉1), 前田 明彦1), 木原 一樹1), 山遠 剛2), 高杉 尚志1), 堂野 純孝1), 佐藤 哲也1), 藤枝 幹也1), 小倉 英郎2), 脇口 宏1)
1)高知大学医学部附属病院小児科
〔〒783-8505 南国市岡豊町小蓮〕
2)独立行政法人国立病院機構高知病院
妊婦健診で梅毒血清検査が行われるようになり,先天梅毒の報告例は減少していたが,梅毒患者の増加に伴って先天梅毒も増加傾向にある.妊婦検査後の感染については,チェック機構が働かないので,症状が乏しい例の見逃しが少なからずあることが懸念される.今回,妊娠29週の梅毒抗体検査が陰性で,生後3カ月時に全身浮腫,嘔吐,肝脾腫,貧血,肝機能障害で発症し,抗菌薬投与開始時に一致して急激に進行するARDS,意識障害,アシドーシスをきたした先天梅毒の一例を経験した.治療に対する反応は良好であったが,治療終了後に梅毒関連と考えられる肝機能障害が出現した.小児科医はこれまで以上に性感染症に対する関心を深めるべきであると考え報告する.
Key words | 先天梅毒, 妊婦健診, 播種性血管内凝固, 肝障害, Jarisch-Herxheimer反応 |
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受付日 | 2009年6月4日 |
受理日 | 2009年7月15日 |
小児感染免疫 21 (4):357─362,2009
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