機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─総説─

ペニシリン低感受性B群連鎖球菌

木村 幸司**, 荒川 宜親**

**国立感染症研究所細菌第二部
〔〒208-0011 武蔵村山市学園4-7-1〕


 新生児における敗血症,髄膜炎の筆頭原因菌であるB群連鎖球菌は,これまで国際的にペニシリンを含むβ-ラクタム系抗生物質に耐性を獲得した株は存在しないとみなされてきた.しかしながら,近年,ペニシリンなどのβ-ラクタム系薬に低感受性を獲得した株が報告されるようになってきた.われわれが,それらの株について詳細な解析を行った結果,β-ラクタム系薬の標的の一つであるペニシリン結合蛋白(PBP2X)に共通のアミノ酸置換を獲得していることが確認され,米国CDCもそれを追認する研究結果を報告した.今後,この種のペニシリン低感受性株の臨床的な評価とともにそれらの分離動向の監視が緊急の課題となっている.

Key words B群連鎖球菌, GBS, ペニシリン, β-ラクタム, 低感受性

小児感染免疫 20 (3):312─316,2008

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