機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌の関与が想定された乳幼児市中肺炎例におけるスルバクタム・アンピシリンと硫酸セフピロムの臨床効果

成相 昭吉1)

1)横浜南共済病院小児科
〔〒236-0037 横浜市金沢区六浦東1-21-1〕


 小児下気道感染症例上咽頭由来インフルエンザ菌株においてアンピシリン(ABPC)の最小発育阻止濃度(MIC)が4 μg/ml以上のβ-ラクタマーゼ非産生ABPC耐性インフルエンザ菌(BLNAR)の分離頻度が2002年から2004年にかけて28.2%から41.3%に有意に増加した(p<0.001).この間,BLNAR株はすべて硫酸セフピロム(CPR)に感受性を示した.
 BLNARの関与が想定された乳幼児市中肺炎例でCPR投与群13例とスルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)投与群10例(いずれも平均年齢2歳)において,入院後有熱期間はともに1.3日で臨床効果に差を認めなかった.
 BLNARの分離頻度が増加し耐性の高度化が懸念されるが,現状ではBLNARの関与が想定される乳幼児市中肺炎例にSBT/ABPCは有用と考えられた.

Key words β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌, 乳幼児市中肺炎, 小児呼吸器感染症診療ガイドライン2004, スルバクタム・アンピシリン, 硫酸セフピロム
受付日 2006年1月30日
受理日 2006年8月28日

小児感染免疫 18 (4):359─363,2006

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