機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

コクサッキーA群ウイルス感染症・エンテロウイルス71感染症(北九州市における)―第2部 臨床

佐久間 孝久1)

1)佐久間小児科医院
〔〒804-0092 北九州市戸畑区小芝1-1-40〕


 疫学篇で記載した1989~2004年の症例中より,1994~2004年の93例について臨床症状を検討した.
 一般症状の咳嗽,鼻汁,咽頭痛は約30%弱,消化器症状は約10%に認められた.発熱反応は軽度で無熱例が14%,無熱例を除く最高発熱の平均は39℃と高値であったが,有熱期間の平均は2.2日と速やかに解熱した.
 特異的な症状は手足口病とヘルパンギーナであった.手足口病は20%にみられ,コクサッキー A16によるものが大多数を占めた.ヘルパンギーナは58%にみられ,コクサッキー A2,A4,A10によるものが多く認められた.コクサッキー A群によるヘルパンギーナは他のウイルス,コクサッキー B群,エコーウイルス,アデノウイルス,ヘルペスウイルスによるものより口内疹の数が多く,口内疹の発生部位も口中に拡がる傾向がみられた.予後は一般に良好で無菌性髄膜炎は1例もなかった.エンテロウイルス71は全例手足口病であった.

受付日 2005年11月14日
受理日 2006年2月22日

小児感染免疫 18 (2):130─141,2006

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